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2 再建型の任意整理

(3) 再建型任意整理の急所

(イ) 手続進行の主体
法的整理においては、例えば更生管財人(会社更生)や、監督委員(民事再生)といった裁判所によって選任された機関が、再建計画を実施したり、再建の監督を行ったりします。
一方、再建型任意整理においては、倒産会社が選任した代理人によって整理手続が進行し、再建業務は倒産企業の経営者が行います。整理手続や再建業務について監督者は特に設けられません。このように手続、再建の主体が、倒産会社やその選任する代理人のみとなります。
このような手続進行主体の地位から、一部の債権者に対する抜け駆け的な整理を行ったり、倒産会社の関係者、縁故者に有利な整理を行ったりするリスクが存在しますし、逆に代理人や会社経営者に対し、そのような圧力がかけられるというリスクも存在するのです。
一部の債権者に対する抜け駆け的整理が行われた場合、その整理は他の債権者に対する関係では詐害行為となって、取消しの対象となり得ますし、不平等な整理の内容は、不平等を受けた債権者にとっては要素の錯誤として整理(和解ないし示談契約)の無効事由ともなり得ます。
(ロ) 法的整理への移行
再建型任意整理において策定される、再建計画、弁済計画は、債権者が同意しない限り何らの法的拘束力を生じるものではありません。
法的整理の場合、一定数、一定割合以上の債権者の同意によって、計画を認可することが可能とされていますが、任意整理の場合は、全債権者が再建計画、弁済計画に同意しなければ、そこで任意整理手続は完了したとはいえないのです。
もちろん反対債権者がごく少数かつ少額の債権者で、事実上異議を唱えない場合には問題は表面化しませんが、そうでない場合は任意整理手続がストップせざるを得なくなります。
その場合、会社自ら法的整理を選択せざるを得ませんし、さらには任意整理を進めている最中に、債権者の側から、法的整理の申立てをされるといった事態も想定されます。
このように会社ないし経営者が清算型任意整理を計画、実行した場合であっても、その実現は不確定であり、債権者の意向によっては、積み重ねたものが実質的に無駄になってしまうということもあるのです。